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「後ろの車に譲るべきか」論争に、法的根拠で決着をつける

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2026年になっても、Twitter(X)では「後ろから速い車が来たら譲るべきか否か」が果てしなく論争されている。毎回同じところを回り続けるこの議論に、答えと法的根拠で決着をつけたい。

先に結論を書くと、違う意見の人は気分を悪くする。なのでまず、それぞれの派閥にひとことずつ申しておきたい。

目次

まず「譲るべき派」へ

制限速度いっぱいで走っている車を追い越すとき、あなたは制限速度を超過している。その時点であなたも違反者だ。前の車を煽る資格はないし、高圧的になっていい理由もない。安全に追い越せる場所でスパッと抜け。絡むな。煽るな。安全に。

次に「譲らない派」へ

他人の速度超過を許さないと言うなら、追いつかれた車両の義務を果たしていないあなた自身も許されない。違反という意味では同じレベルだ。意地を張る必要はない。さっさと行ってもらえ。どうせ次の信号で追いつく。そこで「お先にどうぞ」と心の中で笑っていればいい。

その前に:ルールは何のためにあるか

時と場合とコンテキストによるが、ルールというのはある程度の余白を持って設定され、余白を持って運用されるものだ。社会生活上のすべてが、一字一句まで厳密に運用されているわけではない。まともな社会生活を送ってきた人なら、その感覚は理解しているはずだ。

ルール違反を勧めるわけではない。だが、守るべきなのは自車と周りの車の安全、そして円滑な交通であって、ルールを守ること自体が目的ではない。これも、まともな社会経験があれば当然わかる話だ。

何が何でも他人にケチをつけたい、絶対に譲りたくない——そんな「道交法警察手帳」を高々と掲げる人は、条文は暗記していても、その手前にある「何のためのルールか」が抜け落ちているのかもしれない。

結論:どっちも「さっさと、きれいに」

  • 追いつかれた側 → さっさと譲れ
  • 追い越す側 → 人に迷惑をかけず、他者にブレーキを踏ませず、さっさときれいに抜け

つまり両者とも、もたつかず・絡まず・きれいに、が答えだ。

法的根拠

一般道か高速道路かで、根拠になる条文が変わる。

高速道路など「車両通行帯」がある道路:キープレフト(道交法第20条)

車両通行帯がある道路では、一番左の通行帯を走るのが原則。右側(追越車線)は追い越すときだけ使う。

80km/hで走ろうが120km/hで走ろうが関係ない。走行車線が空いているのに追越車線を走り続ければ「通行帯違反」で、反則金の対象になる。速度ではなく「居座り」が違反なのだ。
今は亡き私の祖父もこれで切符を切られた。本人は警察も暇なのかとぼやいていたがこれは警察が正しい。

左の通行帯を走るのは基本中の基本。これすら守れない人に、他人の運転にケチをつける資格はない。

車両通行帯のない道路:追いつかれた車両の義務(道交法第27条)

片側一車線のような、車両通行帯のない道路では第27条が効く。

  • 後ろの車に追いつかれたら、速度を上げて引き離そうとしてはいけない(第27条1項)
  • できる限り左に寄って進路を譲る義務がある(第27条2項)

つまり「譲らない」は、譲る側に課された法的義務の違反だ。マイペースは権利ではない。

なお、この譲る義務は自分の走行速度とは関係なく生じる。たとえ制限速度ぴったりで走っていても、追いつかれて譲れる状況であれば、進路を譲る義務はある。「制限速度で走っているんだから譲らなくていい」は通らない、ということだ。

煽る・速度超過する側も当然アウト

譲られる側が免罪されるわけでもない。

  • 速度超過は道交法第22条違反
  • 車間を詰める・幅寄せ・無理な割り込みなどは「妨害運転罪(あおり運転)」(2020年施行)。罰則は重く、一発で免許取消もありうる

要するに、居座る側にも煽る側にも、それぞれ法律に明記された「やってはいけないこと」がある。だから答えは一つ、「お互いさっさと、きれいに」。

補足:個別の事例ではどうか

こういう原則論を書くと、具体的な事例を持ち出して反論してくる人がいる。個別具体的な事例なら、原則と違う判断になることも当然ある。何を言ってるんだ、という話ではあるが、せっかくなので思いつく事例をいくつか書いておく。

その1:狭い市街地で追いつかれたら

譲らなくていい時もある。道幅があって安全に追い越してもらえるなら、先に行ってもらえばいい。逆に、見通しが悪く歩行者もいるような市街地では、無理に追い越させる方がリスクだ。そういう場面では無理に譲る必要はない。

ただし、後ろに明らかに様子のおかしいのがいる——たとえば「8888」ナンバーにDADステッカーを貼ったオデッセイ、みたいなのが張り付いているなら、なるべく道幅に余裕のあるところで先に行かせた方がいい。あなたが守りたいのは法律のべき論か、それとも自分と周りの車・歩行者の安全か。そこをよく考えてほしい。

その2:黄色のセンターライン(追越し禁止)で追いつかれたら

これもその1と同じ。安全に追い越してもらえるなら先に行ってもらえばいい。「黄色のセンターラインを割って追い越したら違反だ」という反論もあるだろう。だが「追越し」とは、進行中の車両の側方を通過して前方に出る行為だ。左ウインカーやハザードを出して、いったん左に寄って止まればいい。停止した車の横を通るのは「追越し」ではないのだから、あなたは何も違反していない。

その3:緊急車両が来たら

これは議論の余地がない。サイレンを鳴らした救急車・消防車・パトカーが来たら、譲る。道路交通法でも緊急車両に進路を譲る義務がある(第40条)。「譲るべきか」ですらなく、一択だ。

その4:高速の登坂車線

上り坂で速度が落ちるなら、素直に登坂車線へ寄る。登坂車線は遅い車のためにある。後ろを詰まらせてまで本線を粘る理由はない。

速度を出したくなる気持ちもわかる

念のため言っておくと、私も車で走るのは好きだ。田舎の見通しがよく、人も家もない直線では、多少のびのび走りたくなる気持ちはよくわかる。だだっ広い道を延々40km/hで走り続けろとも思わない。

最後に:ルール違反はしても、マナー違反はするな

『湾岸ミッドナイト』に「ルール違反はするがマナー違反はしない」というセリフがある。高速に限らず下道でも、事故らない・周りに迷惑をかけないために、これは肝に銘じておきたい。

譲るのも、抜くのも、結局は自分と他人の安全のため。意地でもマウントでもない。

参考(根拠条文)

本記事で挙げた条文は、e-Govの道路交通法で原文を確認できる。

  • 第20条(車両通行帯)/第22条(最高速度)
  • 第27条(他の車両に追いつかれた車両の義務)
  • 妨害運転(あおり運転)に関する規定(2020年改正で新設)
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