はじめに
ひとつのサーバー・ひとつのドメインで複数のウェブサイトを運用するには、サブドメイン方式、サブディレクトリ方式、マルチサイト方式の3つの選択肢があります。
各方式にはそれぞれメリット・デメリットがあり、ユーザー体験や運用コスト、将来の拡張性など、目的に応じて最適な方式を選ぶことが重要です。
結論
- 独立性と移行性を重視するなら → サブドメイン方式
- SEO評価の集中とSSL管理の手軽さを重視するなら → サブディレクトリ方式
- 運用工数を大幅に削減したいなら → マルチサイト方式
なお、サブドメイン方式・サブディレクトリ方式では、それぞれ別々のアプリケーション(例えば異なるCMSやフレームワーク)を独立して動作させることが可能です。
サブドメイン方式
構成イメージ
blog.example.com
→ WordPress (ブログ)shop.example.com
→ Shopify (EC)
メリット
完全に独立
- クッキー/セッションをサイトごとに分離
- 必要なら別サーバーへ移行しやすい
運用自由度
- テーマ・プラグインの更新スケジュールを別管理可能
デメリット
SSL 証明書
- サブドメインごとに発行 or ワイルドカード証明書が必要
ブランド感
- URL が別ドメイン扱いなので「別サイト感」が強い
Let’s Encrypt のワイルドカード証明書 (
*.example.com
) を使えば、サブドメインを増やしても SSL は一括管理できます。サブディレクトリ方式
構成イメージ
example.com/blog/
→ WordPress (ブログ)example.com/shop/
→ Shopify (EC)
メリット
ドメインパワーの共有
- SEO 評価をルートドメインとサブディレクトリ間で共有
SSL はドメイン単位
example.com
の証明書だけで OK
ユーザー体験
- 「同じサイト」感が強く、ブックマーク/シェアしやすい
デメリット
移行の手間
- サブディレクトリごとに別サーバーへ切り出すのは工数がかかる
管理の煩雑さ
- フォルダ構成やパスを分ける必要がある
大規模サイトやトラフィックが増えた際は、サブディレクトリ構成がボトルネックになることがあります。
マルチサイト方式
構成イメージ
example.com
をマスターインストール- サブサイトをサブドメイン型 or サブディレクトリ型で同一 WP ネットワーク配下に追加
メリット
一元管理
- テーマ・プラグインを共有し、更新作業を一回で完了
- ユーザーや権限管理もネットワーク全体で統一
拡張性
- サイト数が増えても同一コードベースで対応
デメリット
障害リスクの共有
- 万一ネットワーク本体に障害が起きると、全サイトが影響を受ける
互換性確認
- すべてのプラグイン/テーマがマルチサイト対応とは限らない
マルチサイトは便利ですが、「全サイト一括更新が怖い」「プラグインの互換性が不安」という場合は避けたほうが無難です。
どれを選ぶ?──目的別ガイド
要望 | おすすめ方式 | 理由 |
---|---|---|
個別にテーマ/プラグインを自由にカスタマイズしたい | サブドメイン or サブディレクトリ | 完全分離でリスクを回避 |
ドメインパワーを集中させて SEO を強化したい | サブディレクトリ | ルートドメインと評価を共有 |
複数サイトを一括で楽に管理したい | マルチサイト | 更新作業・ユーザー管理を一元化 |
将来サーバーを分割する可能性がある | サブドメイン | サイト単位で別サーバーへ切り出ししやすい |
SSL 証明書発行をシンプルにしたい | サブディレクトリ | ドメイン単位で証明書を一つだけ管理できる |
まとめ
方式 | 特徴 | URL形式 |
---|---|---|
サブドメイン | 完全分離 → 独立性と移行性を重視 | blog.example.com |
サブディレクトリ | 一体感 → SEO と運用コストを重視 | example.com/blog/ |
マルチサイト | 一元管理 → 管理工数を重視サブドメイン型 or サブディレクトリ型で選択可 | blog.example.com または example.com/blog/ |
いかがでしたか?まずは読者がどう感じるかを軸に、最適な方式を選んでみてください!
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